「こんなところで寝てないで、早く寝ろ」
毎晩晩酌する早寝の父が、夜中トイレ行きで目が覚めて、母にかける言葉です。
母の返答。
「まだやることがあるんです」
母は若い頃からの夜型人間で、夜中遅くならないと布団に入りませんでした。彼女は父が夜中起きてくるその時間は、たいていリビングの自分の椅子でウトウトしているのです。
その後、両親が二人で暮らしていて帰省した際にも同じ光景が繰り返されていました。
父は認知が怪しくなってきていましたが、習慣のように、母に同じ時間に、同じような言葉を発していました。そして80歳をとっくに過ぎた母もまた同じように言い返していました。
後に布団からベットに代わった母の寝室でしたが、どんどんそこで寝なくなりました。ある時、そのベットをのぞくと、そこには何やら色々物が置かれていて、何日もそこで寝た形跡を感じられませんでした。多分、寝場所はソファーか椅子だったのでしょう。
帰省の度に父は認知が進んでいました。とうとうトイレに間に合わなくなりました。すでに歩行器や車椅子のお世話になっていた母は頻繁なトイレ掃除のストレス最高潮で、結局父に介護施設に入ってもらうことになりました。
ある日、いつもの椅子でうたた寝をしていた母は、そこから滑って床に尻もちをついてしまいました。実は結構やっているようで、時には、あざを作って医者通いしていたようでしたが、そのときは運悪く骨折で入院となりました。その後、老健でリハビリしましたが、車椅子生活となり、特老入所となりました。
今は、色々な方の手助けを頂いて二人仲良く?生活しております。
母も施設の自分のベットで寝ているはず?です。
私は、父と同じで夜10時頃になると眠くなってそのまま寝ることが多いのです(それを過ぎると目が覚めるのです)が、夜中トイレに起きることもあります。
「こんなところで・・・」
妻は風呂上がり、炬燵に潜り込んで寝ていました。
そこにはかつての父親と同じ言葉を投げかけようとしている自分がいました。
『お疲れということで、まぁ、お好きにどうぞ。』
と、私は布団に潜り込みました。
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